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設計者が学んでおきたいシステムブロック図の描き方

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  • 更新日
  • 2023.10.26
  • 公開日
  • 2023.05.09

 システムブロック図は製品の部品間の位置や関係性を明確にするために重要なものです。
 製品を検討する時にブロック図を描くことで、機能実現のためのシステム構成の理解度向上や、機能表では見えなかった課題、問題を発見するなどのメリットがあります。品質向上にも役立つシステムブロック図の描き方を本記事で学ぶことで、設計者としてのステップアップを目指しましょう!

  • ​本記事では電気製品/ハードウェアの観点でのブロック図の描き方を弊社エンジニアの経験に基づく描き方で説明します。

●この記事を読み終える時間(5分)

1. システムブロック図とは?

 システムブロック図とはシステムを図示したもので、構成要素・機能をブロックで表し、ブロック間を線で繋いで関係を示したものです。電気製品においては、機能表と回路図の中間的な位置づけとして、機能表に記載されている機能をどのように実現するか、各機能がどのように関連しているか可視化することが出来ます。

2. なぜシステムブロック図を作成するべきなのか?

 システムブロック図を作成することで、以下のようなメリットがあります。

  1. 製品機能を実現するための構成要素の関係性を可視化し、機能表では見えなかった課題を発見することができる。
  2. 部品選定時にブロック図を参照することにより、部品に求められる機能を整理することができる。
  3. 設計者間での認識を統一することで、認識レベルを合わせることができ品質が向上する。
  4. 設計者の引継ぎの時にも活用できる。

手戻りによる無駄な工数の削減、品質向上のための不具合の未然防止に繋がります!

 

3. システムブロック図の書きかた

3-1. 機能表からブロックを作成する

 まずは機能表からブロックを作成していきます。今回はイメージしやすい4Kテレビを題材に見ていきましょう。

  1. 製品検討時には最初に製品概要/要求仕様をまとめ、機能表を作成する。(表1、2)
  2. 要求仕様/機能表に記載された機能をブロックとして図示する。(図1)
    ブロック入力・処理・出力の順に左から配置します。入力・出力は入出力となる場合もあります。同一レベルのものに関しては同じ縦位置で問題ありません。
表1.製品概要/要求仕様 表2.機能表
仕様 機能
地デジ 入力
機能
地デジアンテナ入力
地デジチューナ
BS 入力
機能
BSアンテナ入力
BSチューナ
表示 4KLCD
ローカルディミング
出力
出力
機能
4KLCDパネル
バックライト
バックライト制御
音声 ステレオ
〇〇W x2
機能
出力
オーディオアンプ
スピーカ
HDMI入力 4系統 入力 HDMI入力 x4
音声出力 イヤホン
光デジタル
出力
出力
ヘッドホン出力
光デジタル出力
リモコン 赤外線式 入力 赤外線入力
その他 機能 アップコンバート (720p/1080i → 4K)

機能表からブロックを作成

図1. ブロックとして図示

3-2. ブロックを並べ替え、不足機能を確認する

 次に各ブロックを接続し、不足機能があれば補っていきます。

  1. 入力ー出力間を広げて、機能部分を処理の流れが分かるように線で繋ぎ、並べ替える。
  2. 下図の橙点線部の様に、不足していると思われる機能ブロックを追加します。

 電源系は、設計時に電源系統図を作成するのでシステムブロック図としては、下部に避けて配置します。

3-3. 機能ブロックをデバイスに置き換える

 次に機能ブロックを一覧表に置き換えて、対応デバイスを検討します。

機能ブロック 対応デバイス 品名 電源電圧 消費電流
地デジチューナ チューナモジュール
or
シリコンチューナIC
品名/電源電圧/消費電流を記載しておくと、電源系統図を作成時に活用できます。
BSチューナ
セレクタ
HDMIセレクタ HDMIセレクタIC
TV映像信号処理 TV用SoC 専用回路
HDMI入力/HDCP/CEC処理 専用回路
アップコンバート 専用回路
映像補正処理 専用回路
LCDパネル用映像出力 専用IO
バックライト制御 CPU
システム制御
SPDIF出力 専用IO
オーディオDAC オーディオアンプIC
オーディオアンプ
リモコン処理 MCU

3-4. デバイスベースでシステムブロック図を描く

 対応デバイスに置き換えたもので、改めてシステムブロック図にします。入力/出力部に関しては、必要に応じてコネクタ等の部品に置き換えます。



4. ウィニング・コンビネーション

 ルネサスエレクトロニクスでは、お客様のアプリケーションへのニーズを満たすために、組み込みプロセッサ、電源IC、アナログIC、およびコネクティビティデバイスからなる豊富なデバイスポートフォリオで構成されるトータルソリューションを提供します。 検証されたソリューションを活用することで、市場投入でのリスクを低減できます。

5. まとめ

 システムブロック図は回路図を抽象化したようなものであり、必ずしもこう描かなければならないという決まりはありません。信号の流れを理解しておくことで、システムを検討するときや理解するときに役立つものです。描き手/読み手に分かりやすいものが正解となりますので、本記事の内容をベースに最適な手法を身に着けていただけると幸いです。

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