【解説】欧州USB Type-C義務化

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  • 更新日
  • 2023.09.27
  • 公開日
  • 2023.06.27

 欧州へ出荷する製品に、USB Type-Aやmini-B、micro-Bを採用していませんか?

 EU圏に長期供給する製品に外部インタフェースや充電機能を設けるなら、見逃すわけにいかないのが「欧州Type-C義務化」です。

 ポータブル製品の欧州への出荷に向けて、いつまでに何をすると良いか、おすすめ対処法を具体的に検討していきましょう。

1. USB Type-C充電義務化とは?

 USB Type-C充電義務化は、欧州連合(EU)圏内で販売されるスマートフォンなどの携帯端末の有線充電にUSB Type-C採用を義務付けるものです。2022年10月4日に欧州議会にて要案可決され、同24日にEU理事会にて最終承認されました。その後、同年12月27日に発効され、充電ポートを備えたポータブル機器を対象として、2024年12月28日から対応が義務化されます。

 当対応により、充電器の使い回しが可能となり、急速充電技術の統一と共にユーザの利便性向上が図れるとしています。また、デバイス購入時に充電器の要・不要を選択できることも求めており、ユーザの負担軽減や廃棄物の削減を見込んでいます。

2. USB Type-Cによってできるようになること

 USB Type-Cは充電だけでなく、データ通信、映像伝送など様々な用途で利用可能な規格です。
 USB Type-Cを採用することにより、以下のようなメリットが得られます。

  1. コネクタの種類数を減らすことが出来るから筐体を小さくできる
    • 充電・データ通信・映像伝送を1ポートで賄うことが出来るため、用途ごとに設けていたコネクタ種別を統一することが可能です。
    • HDMI, DisplayPortと言った映像伝送ポートの標準コネクタよりサイズが小さくなるので、筐体を薄く・小さくすることも可能です。
  2. 画像・動画転送速度の向上
    • USB Type-CはUSB 3.2 Gen2x2(30Gbps)、Thunderbolt4(40Gbps)に対応している為、データ通信速度の向上が見込めます。
  3. 急速充電が可能になる
    • USB Type-CにすることでUSB Power Delivery(USB PD)に対応可能となるので、最大 240W(USB PD3.1)の急速充電が可能です。
  4. micro-Bなどと比較すると表裏がないので、挿抜時のコネクタの破損が減る
    • USB Type-Cでは、従来のUSB(USB A, mini-B, micro-B etc)で課題であった挿抜向きを解消しており、表裏どちらでも挿抜可能です。

3. 対象機器とUSB Type-C充電義務化の要求内容

対象機器

  • 対象機器① 2024年末に義務化となる機器
  • 対象機器② 2026年春に義務化となる機器

USB Type-C充電義務化の要求内容

要求内容 詳細
コネクタ・充電規格
  • 規格 EN IEC 62680-1-3:2021 に規定される USB Type C レセプタクルを備えること
  • 規格 EN IEC 62680-1-3:2021 に準拠したケーブルで充電可能であること
5V超の電圧、3A超の電流もしくは15W超の電力による充電が可能な場合、以下の要求も満たす必要があります。
  • 規格 EN IEC 62680-1-3:2021 に規定される USB Power Delivery を組み込むこと
  • 追加の充電プロトコルは、使用される充電器に関係なく、USB Power Delivery の完全な機能を可能にすること
充電器非同梱での販売と表示
  • 充電器を同梱せずにユーザに提供(販売)すること
    • 充電器を同梱したセットの提供は可能ですが、充電器の無いパッケージも合わせて提供する必要があります
  • 充電器が付属しているかどうかを示すピクトグラムを表示すること
    • ピクトグラムは包装に印刷するか、ステッカー貼付する必要があります
充電仕様に関する情報提供
  • 取扱説明書には、以下2点の情報を記載すること
    • その機器で使用出来る充電デバイスの電力要件の説明
      (充電に必要な最小電力[W]と最大充電速度を達成するための最大電力[W])
    • 5V超の電圧、3A超の電流もしくは15W超の電力による充電が可能な場合、機器の充電能力に関する仕様の説明
      USB PD充電プロトコルをサポートしていることの表示
  • 充電仕様ラベルを表示すること
    • XX : 機器の充電に必要な最小電力
    • YY : 機器が最大充電速度を達成するための最大電力
    • 機器が充電通信プロトコルに対応している場合は、USB PDと表示
    • ラベルは取扱説明書に印刷し、さらに包装に印刷するか、ステッカー貼付する必要があります
      包装が無い場合は、ラベルが表示されたステッカーを機器に貼付する必要があります

4. 推奨移行スケジュールと今後の動向

 移行スケジュールは下図の通りです。
 有線充電に関しては、技術変遷に照らして、対象製品の変更/追加/削除や、充電レセプタクル・充電通信プロトコルの規格変更/追加/削除の可能性があります。
 ワイヤレス充電に関しても対象となる機器、充電インタフェース、通信プロトコルを導入する可能性があるとされています。

 以上、USB Type-C充電義務化の対象機器、適合に向けたスケジュールについてまとめてみました。
 対応方法でお困りの方は、ぜひお問合せフォームよりご相談ください。

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