【業界シェアトップクラスに聞け】ファクトリコンピュータの選定ポイント
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- 更新日
- 2024.09.13
- 公開日
- 2024.08.06
ファクトリコンピュータ(産業用PC)が使われる現場では、一般PC(事務用PC)とは異なり、安定した動作・稼働が実現できる製品で、万が一なにかあったときでも迅速に対応可能な安心できる環境を求められています。今回はファクトリコンピュータで業界シェアトップクラスのNEC様に、安定した動作が求められる背景とお客様から選ばれ続けている理由についてインタビューしました。
INDEX
1. ファクトリコンピュータ業界シェアトップクラスのNEC
Q: NECが業界シェアトップクラスで選ばれ続けるのは、保守性の高い製品と安定したサポートが理由でしょうか?
NEC様 長期供給、長期保守、耐環境性等の特長が選ばれる理由だと思いますが、それに加えて保守サービスはグループ会社のNECフィールディングと連携しています。そのことで全国各地にあるお客様の最寄りの保守拠点から、迅速に安定したサービスを受けて頂ける事が大きなポイントになっていると考えています。
リョーサン 弊社のお客様が「貴社は親身になって対応をしてくださる」と仰っていました。品質改善においても貴社の中で一丸となって取り組まれるなど、そのような点が継続採用に繋がっていると感じます。
NEC様 まずはお客様に寄り添い、お困りごとには我々の出来る事を考え対応しているという事が評価頂けているならば、嬉しい言葉です。
2. 安定性、安心感が求められるファクトリコンピュータ
Q: なぜ365日24時間稼働が求められるのでしょうか?
NEC様 ファクトリコンピュータをお使い頂くお客様の用途が、24時間365日を必要としているからです。ファクトリコンピュータの前身は、自社製大型装置の制御用コンピュータとして作られ、組み込まれていました。この装置は、毎日届く大量のワークを昼夜問わず24時間検査する必要があり、装置を止める事無く使われる物でした。24時間365日稼働のニーズは、工場での生産性向上、社会インフラでの利用等幅広い市場で求められます。なので、ファクトリコンピュータは製品の堅牢性だけでなく、万が一の故障からの速い復旧を考慮したハードウェア設計に取り組んでいます。
Q: 一般OSと産業用OSの違いを教えてください
NEC様 ファクトリコンピュータは一般のPCと異なり、Windows 10 IoTのような長期サポートが提供されるエンベデッドOSを採用しています。これにより、お客様がシステムやアプリケーションの再評価を行う手間を軽減できるようにしています。一般のOSは短期的なサポートが多く、セキュリティホールの問題が発生しても対応が限られることがあります。一方、エンベデッドOSは長期サポートが提供され、セキュリティやその他の問題が発生した際にも継続的なサポートが受けられるため安定した運用が可能です。現在ではCPUとソフトウェアの開発スピードが密接に連携しているため、長期サポートの提供には難しさもあります。しかし、私たちにはこれまでのノウハウを活かし乗り越えてきた実績があります。
3. ファクトリコンピュータの選定ポイント
Q: お客様が重要視することは何だと思いますか?
NEC様 お客様が重要視するポイントは「同じものを継続的に入手できること」です。万一のトラブルがあった際に、同じ部品構成であれば要因特定が容易になります。そのため、ミッションクリティカルな用途では、同じ仕様の製品を提供し続けることが重要視されます。また、5年や3年に1回のペースでファクトリコンピュータはモデルチェンジします。例えばCPU選定においては、ベンダーと長期供給が約束された物を選びます。最新のCPUを追うだけではなく、市場でテストされた世代のCPUを採用することで、高い信頼性を保ちながら安定した最新モデルを提供できるようにしています。
Q: 新しいファクトリコンピュータの使用・利用方法の相談はありますか?
NEC様 PLCに関する相談を頂くようになりました。ファクトリコンピュータそのものの置き換えという訳でなく、ハードウェアPLCからソフトウェアPLCへの置き換えのお問い合わせを受ける事が増えてきました。少し前と比べるとソフトウェアPLCという技術が徐々に浸透してきている様です。半導体や部品不足の影響が2021年頃から続きますが、ハードウェアPLCの入手の困難にも大きく繋がります。その時期にはファクトリコンピュータ上にソフトウェアPLCを実装し、ハードウェアの入手不足を回避する相談もございました。一方でPLCの技術を持つ熟練者が引退するケースも増えており、ソフトウェアPLCへの置き換え検討が進んでいる様です。弊社はパートナーのマイクロネット社と連携してファクトリコンピュータとソフトウェアPLCの利便性を提案しています。
4. ファクトリコンピュータでセキュリティが必要とされる背景とニーズ
Q: ファクトリコンピュータでセキュリティ要求は増えてきていますか?
NEC様 はい、ファクトリコンピュータではアプリケーション、OS、BIOSレベルまでの対策のアドバイスを求められることもございます。ハードウェアとしてはTPM(Trusted Platform Module)を標準的に搭載した省スペースタイプや、その他のセキュリティ規格に対応したモデルもリリース予定です。 また海外輸出するお客様からSEMI規格、EUサイバーレジリエンス法対応の相談を頂く事もあり世界的にセキュリティへの要望は高まっていると肌で感じています。お客様のニーズに応じて、企業としてもセキュリティ対策を強化し続けて参ります。
Q: 具体的なインシデント事例などありましたらお聞かせください。
NEC様 弊社のファクトリコンピュータにウイルスが侵入したという報告を頂いた事はございません。 ファクトリコンピュータはさまざまなセキュアな用途で採用頂いており、セキュリティ対策は、今後も大きな課題と認識しています。 お客様の運用に合わせたセキュリティ対策のご提案など協力させて頂いています。
5. ファクトリコンピュータの今後の活用/発展について
Q: 今後どの様に普及していくと思いますか?
NEC様 これからますますIT技術を製造現場(OT)側に持ち込む事は加速すると考えています。現場では、より幅広く、精細なデータ収集等取扱データが膨大になることが予想される為、より高速処理能力を持つファクトリコンピュータが求められ普及していくものと思います。
Q: ファクトリコンピュータの今後の方針は出されていますか?
NEC様 ファクトリコンピュータは一つのプロダクトではありますが、長期供給・長期保守かつ24時間365日動くというソリューションです。この特長を活かしながら、接続機器の不調を事前に察知する予防保全や生成AI活用への付加価値を創出する取り組みを強化して参ります。具体的な実現のために社外パートナーと積極的に共創を進める方針です。
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\\ システムを支える『ファクトリコンピュータ』//
(執筆者:小林賢司、編集者:安西滉樹)