ドップラーセンサでできること | ドップラーセンサとは - 第3回 -
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- 更新日
- 2023.09.27
- 公開日
- 2022.09.09
第1回、第2回ではドップラーセンサの前提として知っておきたい「周波数と電波」、「ドップラーセンサの原理」について解説しました。
今回はドップラーセンサでできることについて解説します。
1.前回のおさらい
ドップラーセンサは、電波を用いて物体の接近や離反、物体が動いていることを検知する仕組みです。
2.はじめに
これまでの解説を基に、「ヒト・モノの振動を検知することができたら…?」を着眼点にドップラーセンサでできることを弊社パートナーのカレアコーポレーションの取り組みも併せてご紹介したいと思います。
3.ヒト・モノの振動を検知する原理
カレアコーポレーションは、独自アルゴリズムによって、マイクロ波で体表面の微動から、“体動”・“呼吸”・“脈拍”を検知することを可能としました。
これらを検知するための大まかな原理をご説明します。
皆さん、手首に指をあてて脈拍数を計測する方法をご存知だと思いますが、血管がどくん・どくん と振動していますよね?この振動を検知しているわけです。
では、どくん・どくん としている血管の振動について少し触れたいと思います。
何故、血管が振動しているか・・・それは心臓が血流を作り出しているからですね。その血管の振動を波で表したものを脈波と呼び、この振動を計測しているわけです。
また、心拍数は心臓の動き(心電図)から数値化していますが、脈拍数は血管の動き(脈波)から数値化します。
脈波の振動周波数は1Hz前後です。(個人差があります)
1分間の脈拍数が80回の場合は、振動周波数は約1.3Hzとなります。
1/T(時間)=f(周波数) つまり、1分間に80回 ÷ 60秒 ≒ 1.3 Hz
カレアコーポレーションの独自アルゴリズムでは、脈波のピークを脈拍数への数値化に使用しています。
4.独自アルゴリズムについて
複数ある振動の中から脈波をどのように見分けるのでしょうか。
カレアコーポレーション独自のアルゴリズムは、この見分け方に強みを持っています。
NHA信号解析技術による解析精度向上
高度なNHA信号解析技術を用いており、今までにないくらい解析精度が向上しています。
心拍変動の LF、HFを想定した信号に対して、従来のFFT解析とNHA信号解析の比較をご紹介いたします。
FFT解析結果では、見たい波形(周波数帯域)がボヤけてしまいますが、NHA信号解析結果では 「呼吸による振動(LF)」 と 「脈拍による振動(HF)」の区別がよりハッキリとなります
(補足)
心拍変動:心臓の1拍ごとの拍動の長さ
LF(Low Frequency):呼吸変動に対応する高周波成分(0.05Hz~0.15Hz)
HF(High Frequency):脈拍変動から、血圧変動に対応する周波数成分(0.15Hz~0.40Hz)
FFT(Fast Fourier Transform):高速フーリエ変換
NHA(Non Harmonic Analysis):非調和解析
正確な脈波の検知による心身の状態検知
脈波のピークの話に戻りましょう。
脈波を正確に計測できることで、ピークとピークの間隔も計測することが可能となります。この間隔は常に一定ではなく、ゆらぎ続けています。この「ゆらぎ」を脈拍変動と呼びます。
脈拍変動に現われる揺らぎは、自律神経の影響を受けていることから、脈拍変動を通じて自律神経のゆらぎを知ることが可能となり、心身の状態の見える化が期待されています。
(補足)
自律神経:体の機能をコントロールする2つの神経(交感神経、副交感神経)の総称
交感神経:心と体を活発にする役割
副交感神経:心と体を休ませる役割
5.キモチを見える化‥?
カレアコーポレーションは、さらに脈拍全体の波形変化から中枢神経系におけるゆらぎ(意識揺らぎ、意識状態)を抽出し、そこからメンタルのゆらぎ解析を行い、心のキモチを“見える化”する独自アルゴリズムの開発に取り組んでいます。
最後に、彼らの独自アルゴリズムが搭載された非接触型メンタル検知センサ評価キットをご紹介させて頂きます。
評価キットには、以下の特徴があります。
- 高精度を実現するノイズ除去技術を活用し非接触で生体情報を検知
- 目に見えない様々なメンタル状態の検知が可能
- 水・金属以外の透過が可能
- 評価キットのみで簡単な測定と、評価が可能
無拘束(非接触)の環境で、センサと最大6メートル離れた位置から計測できます。
6.まとめ
ご紹介しましたセンサ機器を使用し、メンタルモニタとして各種用途に合った情報化サービスの実現を目指しています。
さまざまな用途での活用として、
- リモートワークや従業員のメンタルケア
- 介護や作業現場での安全管理
- 将来的にはメタバースやアミューズメントへの応用
などができるのではないかと考えています。
ドップラーセンサで新しい社会を目指しませんか?
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