スマートホームをより便利に!共通規格「Matter」とは?
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- 更新日
- 公開日
- 2024.01.16
スマートホーム、またスマートホーム用の通信プロトコル「Matter」について御存じでしょうか?Matter対応を行うことで、異なるブランドのスマートホーム機器をシームレスに制御することが可能となります。本記事では「スマートホームの課題点」、「Matterとは何か」、「Matter対応するには?」について説明を致します。
1. スマートホームって何?
「スマートホーム」を定義するなら、「インターネットを介して様々な家庭用機器や設備がシステムにより連携・制御されている状態」と言えるでしょう。スマートホームシステムを活用することで、スマートフォンや声の指示(AIスピーカ)で家庭内の照明、温度、セキュリティシステムなどを遠隔で管理でき、生活の快適性や効率性が向上します。またセンサやAIを組み合わせることで使用状況に応じて自動的に調整することもでき、エネルギーの節約や安全性の向上に寄与しています。
2. スマートホームの市場規模
スマートホームの市場規模は今後の成長が見込まれる分野です。以下のグラフの通り、コンシューマ向けのIoTデバイスは2025年に向けて成長率が上昇していることがわかります。
スマートホーム機器を操作するコントローラの代表例でもあるAIスピーカーは、これまでの出荷台数を維持しつつ引き続き増加するものと思われ、スマートホーム機器はIoT製品の増加に伴い、今後ますますの需要が見込まれます。
3. スマートホーム機器の現状課題
ここでスマートホーム機器が抱える課題を見てみましょう。
ユーザとしては、スマートホームシステムを利用することであらゆるスマートホーム機器を一元的に操作できると期待したくなりますが、実情は違います。スマートホームのデバイスは、それぞれのエコシステム専用のアプリを起動しなければ操作できないことが多く、その理由としては、スマートホームの規格が複数(Amazon Alexa、Apple Homekit、Googleアシスタント、SmartThings)存在する中、スマートホームのデバイスは大抵1つの規格にしか対応していないためです。
購入したスマートホーム機器が、別々の規格に対応している場合のイメージ図です。
図のように、各デバイスが対応する規格がバラバラの場合、操作する際に① or ②の規格毎にスマートフォンでアプリを切り替える必要があります。
以上のような課題があることで、メーカ、販売店、消費者はどのような困り事が出てくるでしょうか?
このように同じ通信規格といえども通信プロトコルが異なることで、操作側アプリの切替や希望する機器を自由に選択できないことは、利用する消費者にとって不便なことでした。
4. 異なる規格を繋げるMatterとは?
従来のスマートホームで課題となっていた通信規格の互換性を解決できると期待されるのが、通信プロトコル「Matter」です。Matterプロトコルを使用することで、各社スマートホーム規格に対する互換性を気にせず、デバイスを選定できます。
「Matter」とは
「Matter」とは、2022年10月に発表されたスマートホームのための共通規格(プロトコル)です、策定はApple、Google、AmazonをはじめとするアメリカのIT企業280社以上が参加している無線通信規格標準化団体(Connectivity Standards Alliance(CSA))が行っています。2023年にはMatter1.1、Matter1.2と規格アップデート(以下表参照)が進んでいます。
5. Matterに対応するために必要なこと
自社製品をMatter対応させるためには?
Matter対応の製品開発においては、各種認証が必要になります。
以下に必要となる認証一覧をまとめてみました。
・Connectivity Standards Alliance(CSA)へのメンバー加入(登録費、年会費有)
・Matterデバイス用:Matter認証 (Matterデバイスとして販売するため)
・通信プロトコル用:Thread認証 や Wi-Fi認証 (メインの通信プロトコルに必要なため)
・コミッショニング用:Bluetooth認証 (コミッショニング時の操作でBLEを使用するため)
上記のような各種認証がある中、年会費なども含め、Matter対応の製品認証を行う際のランニングコストには注意が必要です。
※以下表内の「Certification Transfer Program」は、Participant、Promoterが彼らのMatter認証済製品を、リブランディング/ホワイトラベルを目的として顧客へ提供できるプログラムです。
Matter認証の申請手順
Matterの製品認証は大きく分けると以下、3 つのフェーズに分かれます。
・製品開発(★開発ノウハウが必要。)
・認定試験
・認証申請(★年間費用、製品登録費用が必要)
「認証試験」については外部のテスター(認証機関)にて試験実施されるため、直接的な作業負荷としては軽いと言えますが、「製品開発」、「認証申請」は工数面、費用面から注意が必要です。
「製品開発」においては、Matterプロトコルへ準拠したソフトウェアの組み込みや、使用する通信規格(Wi-Fi、Thread、BLE)の認証も別に必要となり、開発には工数だけでなくノウハウも必要となります。
「認証申請」においては、前段で説明のあったCSAメンバーシップに応じた年会費、及び認証したい製品毎に登録費用が必要となります。
5. まとめ
前章で記載した通り、自社製品に対しMatter認証を行う際には、「年会費、登録費」、「開発ノウハウ」が必要となり、これがMatter規格への参入の障壁と言えるでしょう。
ただ「開発ノウハウ」については、あらかじめMatterプロトコル対応のSDK(Software Development Kit)の活用や、Wi-Fi、BLEが認証済であるモジュール製品を使うことで課題をクリアできます。以下にその製品例をご紹介いたします。
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・Wi-Fiだけでなく、BLEにも対応したモジュール
・Matterプロトコル対応のSDKあり
Matter規格対応、製品選定など、疑問点がございましたら弊社まで是非お問い合わせください。
(執筆者:高橋慶)