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IoT化への超近道!簡単クラウド接続ならAWS IoT ExpressLink

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  • 更新日
  • 公開日
  • 2024.10.31

 IoT技術の進化に伴い、多くの企業が製品やサービスにIoTを導入しようとしています。しかし、その一歩を踏み出す際に、このような悩みに直面することがあると思います。

 ・ 既存製品のIoT化に取り組みたいが何から始めれば良いのか分からない

 ・ PoCでクラウドを利用したいが知見がない

 ・ 無線通信を搭載したいが無線の経験がない

 本記事では、このような課題を乗り越えるために、AWS IoT ExpressLinkを活用することで迅速かつ簡単にIoT化を実現する方法をご紹介します。

1. AWSについて

 初めに、本章ではAWSについて紹介します。

1-1. AWSとは

 AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスです。企業や開発者は、インターネットを通じて様々なITリソース(仮想サーバ、ストレージ、データベース、機械学習など)を利用できます。AWS2006年にサービスが開始され、現在では200以上のサービスを提供し、クラウド市場でトップシェアを誇っています。

図1. クラウド市場シェアの推移(出典:Synergy Research Group)

 同社のECサイト(Amazon.com)で使用していたインフラストラクチャーは、繁忙期やピークタイム以外の時間帯に、使用されないリソースが多くありました。これを他の企業や開発者に利用してもらうことで、リソースの効率的な活用を目指したのがAWSの始まりと言われています。

1-2. AWSの特徴

 AWSは以下のような特徴を持っています。

分散型データセンターによる高可用性

 AWSは世界中に複数のリージョンを持っています。リージョンとは、地理的に分散されたデータセンター群の所在地を指し、日本には東京リージョンと大阪リージョンがあります。そして、各リージョンは複数のアベイラビリティゾーンから構成されています。

 アベイラビリティゾーンとは、各リージョン内に存在する物理的なデータセンターを指します。これらは地理的に近接していますが、互いに隔離されています。同じリージョン内の複数のアベイラビリティゾーンを利用することで、自然災害などの影響を受けにくくなり、システムの可用性を高めることができます。

図2. 東京リージョンと大阪リージョン

 

図3. 東京リージョンのアベイラビリティゾーン

利用料に応じた課金

 AWSの多くのサービスは従量課金制です。これは、ユーザが実際に利用したリソースに対してのみ料金を支払う仕組みです。例えば、一日中サーバを稼動させる必要がない場合は、必要な時だけサーバを起動して利用することができます。サービスを利用した時間やデータの転送量などに応じて料金が発生するため、コスト効率が高いです。

1-3. AWSへの接続方法

 一般的なAWSへの接続方法として、VPN接続Direct Connectがあります。VPN接続は、インターネットを経由してAWSに接続する方法で、比較的手軽にセキュアな接続を確立できます。一方、より高いセキュリティと低レイテンシが求められる場合には、オンプレミス環境とAWSを専用線で接続するDirect Connectが選択肢として挙げられます。

 本記事でご紹介するAWS IoT ExpressLinkは、IoTデバイスをAWSクラウドに接続するための無線モジュールであり、VPN接続やDirect Connectのようなネットワーク接続方法とは異なり、IoTに特化したソリューションです。

2. AWS IoT ExpressLinkとは

 それでは、本題に入ります。本章では、IoT化を簡単に実現する、AWS IoT ExpressLinkについて紹介します。

2-1. サービスの概要

 AWS IoT ExpressLinkは、IoTを迅速かつ簡単に実現するためのサービスです。AWS IoT ExpressLinkに対応する無線モジュールを利用することで、複雑なコーディングや設定を行わずに、あらゆる種類の製品をAWSに接続できるように設計されています。これにより、IoTの導入障壁を大幅に低減できます。

2-2. 従来のIoT接続方法との違い

 従来のIoT接続方法は、エッジ端末側にIoTライブラリ(1)・通信スタック(2)・デバイス証明書(3)を組み込む必要がありました。これらの作業には、セキュリティに関する高度な専門知識や、ハードウェアとソフトウェアの開発スキルが必要となり、開発工数の大幅な増加につながっていました。

図4. 従来のIoT接続

 

 一方、AWS IoT ExpressLinkに対応した無線モジュールの場合、AWSと接続するために必要なIoTライブラリ・通信スタック・デバイス証明書が準備・提供されているため、エッジ端末側の開発工数を大幅に削減することが可能です。

図5. AWS IoT ExpressLinkを用いたIoT接続

 

1 IoTライブラリ:IoTデバイスがクラウドと通信するために必要な機能を提供するソフトウェアライブラリです。

2 通信スタック:ネットワークを介したデータの送受信を可能にするソフトウェアで、通信プロトコルの処理を担当します。

3 デバイス証明書:IoTデバイスがクラウドと安全に通信するための認証に使用されるデジタル証明書です。

2-3. 使用方法

 ホストマイコンとAWS IoT ExpressLink対応モジュールを3線式シリアルインターフェースで接続するだけで、IoTデバイスをAWSに接続できます。ホストマイコンからAWSオリジナルのシンプルなATコマンド(※4)をモジュール側に送信することでモジュールを制御します。

4 ATコマンド:通信モジュールに対し、データ送信などの指示を出すコマンド。ATATtentionの略。

2-4. 他サービスとの連携

 AWS IoT ExpressLinkは、他のAWSサービスと組み合わせることで、さらなる効果を実現します。

データの可視化

 AWSにはAmazon QuickSightと呼ばれる、BIBusiness Intelligence)ツールのサービスがあります。BIツールとは、企業が保有するデータを収集・分析・可視化するためのツールです。QuickSightを使用してダッシュボードを作成し、IoT ExpressLink対応モジュールがAWSにアップロードしたセンサデータなどを可視化できます。また、ユーザは、ブラウザやQuickSightのモバイルアプリを経由し、ダッシュボードを閲覧できます。

図6. ダッシュボードによるデータ可視化のサービス組み合わせ例

アラートの通知

 AWSにはAmazon SNS(Simple Notification Service)と呼ばれる、通知(メッセージ)を送信するサービスがあります。SNSはメールやSMSを送信することが可能です。例えば、温度センサで取得したデータをAWSにアップロードし、計測データが30℃を超えていたらユーザにメールで知らせることが可能です。

図7. アラート通知のサービス組み合わせ例

3. AWSへの接続操作デモ

 AWS IoT ExpressLinkを利用し、実際にIoTデバイスをAWSクラウドに接続するデモ動画をご紹介します。是非ご覧ください。

4. まとめ

 AWS IoT ExpressLinkを活用することにより、従来の複雑な設定や高度な専門知識を必要としなくとも、あらゆる製品をクラウドに接続することが可能となります。これにより、IoT導入の障壁が低くなるだけでなく、社会のデジタル化を加速させることにもつながります。

 本記事に関する不明点やお困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

(執筆者:内田将之)

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