Miracast(ミラキャスト)とは?仕組みや機能をわかりやすく解説
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- 更新日
- 2025.12.10
- 公開日
- 2024.09.27
Miracast(ミラキャスト)とは、「Wi-Fi Alliance」によって策定された、1対1の無線通信によるディスプレイ伝送技術です。本記事ではMiracastとは何かという基本的内容やシステム構成、近年の動向と将来性などについて解説を行います。
INDEX
1. Miracast(ミラキャスト)とは何か?
Miracastとは、「Wi-Fi Alliance」によって策定された、1対1の無線通信によるディスプレイ伝送技術です。ストリーミング技術を用いてホストの画像、音声、動画を、無線で接続された異なるデバイスに送信可能です。
Miracastは、コンテンツを送信する「Source Device」と、コンテンツを受信/表示する「Sink Device」の2種類の機器で構成されており、双方を接続するとストリーミングによって映像を伝送します。
どれだけ対応している?身近な例でMiracastをよりわかりやすく解説
Miracastが実際にどのように活用されているか、私たちの身近にあるデバイスを例に、その役割と利便性を解説します。
・パソコン(windows等)の場合
パソコン(Windows搭載のノートパソコンなど)は、その画面をワイヤレスで他のディスプレイに映し出す機能を持っているものがあります。
例えば、重要なプレゼンテーションの際、会議室の大型モニターやプロジェクターがMiracastに対応していれば、ケーブルを一切接続することなく、手元のパソコン画面を即座に共有できます。
会議の準備時間が劇的に短縮され、発表者も自由に席を移動しながら説明できるため、会議の質そのものを向上させます。
・スマホ(Android等)の場合
一部のAndroidスマートフォン(スマホ)は、Miracastの機能を標準で搭載しています。
「キャスト」や「画面ミラーリング」といった名称で設定メニューに組み込まれており、ユーザーは数回のタップで、スマートフォンで視聴している動画、撮影した写真、あるいはゲーム画面を、リビングの大型テレビなどに映し出して家族や友人と楽しむことができます。
この手軽な体験は、個人のエンターテイメント体験を豊かにするだけでなく、コンテンツを「個」から「集団」へ共有する新しい利用シーンを生み出します。
・テレビの場合
近年のスマートテレビの一部は、Miracastに対応しており、パソコンやスマートフォンからの映像をワイヤレスで直接映し出すことができます。
これにより、テレビ自体がワイヤレスディスプレイとして機能します。
もしご家庭やオフィスのテレビがMiracastに未対応であっても、専用アダプタ(ドングルレシーバ)をテレビのHDMI端子に接続するだけで、容易に同様の環境を構築できます。
・車の場合
自動車業界において、Miracastは「車内エンターテインメント体験の向上」と「製品の付加価値向上」に直結する重要な技術です。
例えば、カーナビや後部座席のモニターに、スマートフォンの画面をワイヤレスで映し出すことができます。
ドライバーや同乗者は、使い慣れた自身のスマートフォンを接続し、スマートフォンのナビゲーションアプリや、再生している動画・音楽コンテンツを車載ディスプレイに表示できます。
これにより、ユーザーは高価な車載専用ナビやコンテンツサービス契約がなくとも、常に最新の地図情報や好みのエンターテインメントを車内でシームレスに楽しめます。
MiracastとChromecastの違い
| 比較項目 | Miracast(ミラキャスト) | Chromecast(Google Cast) |
|---|---|---|
| 接続方式 | デバイス間を直接接続(Wi-Fi Direct) | Wi-Fiルーター経由で接続 |
| 主な動作 | 画面のミラーリング(デバイスの画面を複製) | アプリからのストリーミング |
| 動作中のスマホ | 常に画面送信を続ける | リモコンとして機能 |
| ネットワーク | Wi-Fiルーター不要 | Wi-Fiルーター必須 |
| 策定主体 | Wi-Fi Alliance(業界標準) | Google(独自エコシステム) |
Miracastと、Googleが提供するChromecast(Google Cast技術)は、しばしば混同されますが、その仕組みと得意分野は明確に異なります。
利用シーンに合わせて適切な技術を選定する必要があります。
2. Miracastの仕組みは?システム構成
必要なハードウェア
最低限必要となるハードウェアは、Miracastに対応しているSource Device(送信側)とSink Device(受信側)です。この2点を用意すれば、別途ドングルレシーバなどの装置が必要になることはありません。
Miracastの接続には、以下の2パターンがあります。
- AP(アクセスポイント)を使わない、P2P(ピア・ツー・ピア)接続
- APを経由する、インフラストラクチャ接続(※)
- Miracast R2という規格対応や、特定のディスプレイアダプタを使用した場合
必要なミドルウェア
デバイスがMiracastに対応していない場合、専用のミドルウェアを組み込むことでMiracastに対応させることが可能です。
以下にミドルウェアのシステム構成例を記載いたします。

- 通信路 : Wi-Fi Direct / infrastructure
- 伝送プロトコル : RTP (UDP / TCP)
- 伝送制御プロトコル : RTSP (TCP)
- 映像 : H.264 / H.265
- 音声 : LPCM / AAC / AC3
- 多重化 : MPEG2-TS
- 著作権保護技術 : HDCP
3. Miracastと他のストリーミング技術の違い
他サービスとの違い
| 特徴 | Miracast(ミラキャスト) | AirPlay(エアプレイ) | Google Cast(グーグルキャスト) |
|---|---|---|---|
| 主な対応製品 | Android / Windows | Apple製品(iPhone / Mac) | 色々なスマホ / PC(対応アプリ) |
| 接続の仕組み | デバイス同士で直接接続 | 基本はWi-Fiルーター経由(同じLAN内)で接続※ | Wi-Fiルーター経由(同じLAN内)で接続 |
| 互換性(汎用性) | ◎ 高い(メーカー問わず) | △ 低い(Apple専用) | 〇 中(対応アプリ・機器が必要) |
- 一部機種はP2P接続(AirPlay Direct)にも対応
Miracastは他サービスと比較して、汎用性や相互接続性に優れていることが特徴です。多くのAndroidデバイスや一部のWindowsデバイスで標準的にサポートされており、異なるメーカのデバイス間でも高い互換性を持ちます。
Miracastが選ばれる条件
周辺環境にて、AndroidやWindows等の様々なデバイスを使用する場合、互換性があるMiracastを使用することが有効です。対して、周辺環境がAppleデバイスやGoogleのエコシステムなどの使用を前提とする場合、AirPlayやChromecastといった環境に最適化されたサービスが有効です。
4. Miracastの実用的な使用例
導入事例
弊社がMiracastミドルウェアを組み込んだことのある導入事例を2件ご紹介します。
・プロジェクタ
Miracastの導入により、下記のような効果が見込めます。
- スマートフォンやタブレットの画面をスムーズに大画面に投影することが可能
- 配線を原因とする接続不良の解消
- ケーブル自体がなくなることによるケーブル余りの解消
これらの効果により、プレゼンテーションや会議の場で、スムーズな情報共有や議論を行えます。
・カーナビ
Miracastの導入により、下記のような効果が見込めます。
- Android端末の画面を投影することで、視聴していた映像/音声を車内で共有可能
- カーナビ画面でAndroid端末を操作できるため、1画面に集中することが可能
ソリューション紹介
弊社が作成した、Miracastを活用したソリューションを2件ご紹介します。
※評価ボードにはRenesas Electronics社製「R-Car M3 スタータキット」を使用
・Sink(表示機側)ソリューション
動画では、中央手前にある評価ボードに、Sink Device機能を有するMiracastミドルウェアを組み込んでいます。評価ボードが右側のスマートフォンから映像を受信し、ディスプレイにミラーリングしています。さらにディスプレイのタッチパネルから、スマートフォンを遠隔操作することが可能です。(スマートフォンは、標準サポートされた機能にて接続します)
・Source(送信側) + Sink(表示機側)ソリューション
動画では、中央にある評価ボードに、Source DeviceとSink Deviceの両機能を有するMiracastミドルウェアを組み込んでいます。評価ボードは左側のスマートフォンから映像を受信し、さらに映像を右側のタブレットへ再配信しています。1つのコンテンツを、複数表示機でストリーミングが可能です。(スマートフォンとタブレットは、標準サポートされた機能にて接続します)
組み込みシステムへ導入する際の壁
Miracastミドルウェアを組み込む際、映像のエンコードやデコードなど、負荷の高い処理が継続的に実行されます。そのため、十分な処理能力を持つハードウェアだけではなく、映像処理や組み込みシステムに関する深い知識が必要とされます。例えば、効率的な映像圧縮アルゴリズムや、適切な解像度・ビットレートの設定などの専門知識が不足している場合、映像の遅延や品質の低下が発生し、ユーザエクスペリエンスの低下に繋がります。このことから、実績のあるMiracastミドルウェアの選定、経験と知識が豊富な開発者による組み込み作業といった要素が不可欠です。
弊社は、ICベンダやOSを問わず、様々な無線通信開発事業を行っております。パートナ企業であるコムラッド様と協業しながら事業を進めています。ミドルウェアの組み込みやチューニングの対応、Miracast認証、Wi-Fi認証の対応など、様々なサポートが可能です。
5. Miracastの動向と将来性
スマートフォンやタブレットはもちろん、スマートテレビやスマートグラスなどの最新機器でも、Miracast対応機器が様々なメーカからリリースされています。高速なWi-Fi規格の普及に伴い、高ビットレートでのデータ伝送が可能となりました。それに伴い、デバイスの多くが4K解像度に対応しています。将来的には8K解像度への対応が普及し、より高品質な映像の提供が可能となります。また、リモートワークやハイブリッド学習などの普及に伴い、商業および教育分野での利用拡大が見込まれます。
6. まとめ
Miracastについて、今回の記事を通じて知識は深まりましたでしょうか?
Miracastを活用するには適切なハードウェアとソフトウェアの導入や、映像処理に関する知識が必要とされます。
もしご興味がある方や、相談/サポートが必要な場合は、ぜひ弊社にご相談ください。
(執筆者:橋本 裕太、編集者:伊藤 正博)
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