大盛況・パワエレ分解サミット~人・モノ・知恵を繋いだイベントダイジェスト
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- 更新日
- 公開日
- 2025.11.06
EVの電源設計や熱対策に関する技術課題が複雑化する中、実機分解展示と専門家による講演を通じて、技術者が“さわって学べる”、来場した方同士が“つながる”リアルイベントが開催されました。本記事では、講演ハイライト・展示内容・参加者の声を踏まえてイベント当日の様子を詳しくレポートします。イベントの裏側についてもレポートしていますので、ぜひ最後までご覧ください。
INDEX
1. はじめに
2025年7月3日(木)、秋葉原UDX GALLERY NEXTにて、リョーサン初の大型オフラインイベント「テスラ&BYDから紐解くパワエレ さわれる分解サミット」 を開催しました。
本イベントは、弊社が過去2回にわたり開催してきたパワエレウェビナで「実物を見たい!」という多くのご要望をいただいたことを受けて企画されたものです。“実際にさわれる”体験を重視した構成で、4名の専門家による講演と分解品の実物展示を組み合わせ、学びと体験が融合したイベントとなりました。当日は、OEM、Tier1、半導体、電子デバイス関連の方々に加え、産業機器などの異なる業界の方にも多数ご参加いただき、合計107名もの方々にご来場いただきました。
参加者の声(一部抜粋)
参加者の皆様からは、以下のような肯定的なご感想を多数いただきました。
- 「分解品の現物を見られる機会はめったにない。非常に貴重な体験だった」
- 「講演内容が有料級。無料で得られる情報としては破格」
- 「人を繋いでもらえた。広い情報収集と交流の場としても有意義だった」
- 「講演者と直接話せる機会が刺激になった」
- 「写真だけではわからない構造を、実際に触れて理解できた」
分解品の実物展示、専門性の高い講演、参加者同士および講演者との交流など、イベントの各要素に対して高い評価をいただきました。
また、アンケート結果では87%の方が「満足」または「大変満足」と回答され、「また参加したい」「今後もこうした機会を増やしてほしい」といった声も寄せられました。
2. 講演内容ハイライト
本イベントでは、パワエレ分野に精通した崇城大学の西嶋仁浩教授、株式会社スマートエナジー研究所の中村創一郎氏、株式会社サーマルデザインラボの国峯尚樹氏、KOA株式会社の有賀善紀氏の4名にご登壇いただきました。
2-1.西嶋 仁浩 教授(崇城大学)ーEV電源設計の進化と48V化の潮流
西嶋 仁浩 教授
Cybertruckのパワーコンバージョンシステム(PCS)分解を通じて、小型・軽量化された電源ユニットの構造や、テスラが出願した新型トランスの特許技術(平面集積型変圧器)にも触れ、EV電源設計の未来像を提示しました。
2-2. 中村 創一郎 氏(株式会社スマートエナジー研究所)ー損失改善とフロントローディング開発の重要性
代表取締役社長 中村 創一郎 氏
Model3とCybertruckを例にシミュレーションによる設計初期の検証が、開発効率と品質向上に直結することを実例で示しました。Scideamによる高速解析環境の紹介もあり、モデルベース開発(MBD)の実践的な知見が共有されました。
2-3.国峯 尚樹 氏(株式会社サーマルデザインラボ)ーEVにおける放熱構造の最適化
代表取締役 国峯 尚樹 氏
EVの基板放熱型設計やTIMの活用による低熱抵抗化、筐体放熱の工夫など、実機に基づいた設計ポイントを紹介。Cybertruckの48V化による熱設計の変化や、TIM選定の重要性にも言及されました。
2-4.有賀 善紀 氏(KOA株式会社)ー基板放熱型熱設計と部品温度規定の新潮流
職人 有賀 善紀 氏
従来の「周囲温度規定」から「端子部温度規定」への移行により、より実態に即した熱設計が可能に。小型部品の高発熱リスクや、車載機器における筐体放熱の実例を交え、基板設計の重要性を強調しました。
3. 分解展示と会場の様子
今回のイベントではウェビナの際にも登場した以下2点の分解展示を行いました!
- テスラ Model3、Cybertruk パワーコンバージョンシステム(PCS)
- BYD ATTO3 パワードメインコントローラ(インバータ+OBC+BMS)
分解展示の解説記事はこちら!
参加者の皆様は、分解展示に実際に触れながら、細部まで熱心に観察されていました。展示物の裏側をのぞき込んだり、基板上の部品を撮影したりと、目を輝かせながら真剣に見入る姿が非常に印象的でした。
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真剣に展示物をのぞき込む様子
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分解展示ブース、大盛況!!!
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展示物の写真を撮る様子(本イベントは写真撮影可)
またリョーサンテクラボでは、“お客様に寄り添う”をコンセプトとしてイベントを開催しております。今回はご参加いただいた方にこんなノベルティをご用意いたしました。
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感謝の気持ちを込めてノベルティをプレゼント -
ノベルティはリョーサンテクラボオリジナル、「テクロボ茶」
4.まとめ
最後に、本イベントの企画・推進を行った弊社エンジニアの信田さんにインタビューしてみました。
今回のイベントは“人と人をつなぐ”(お客様とサプライヤー様、お客様と知見者様)というコンセプトで開催させていただきました。結果ご来場いただいた方には、交流会を通じて多くの方を繋ぐことができたのではと感じており、引き続きこのようなイベントを開催できればと思います。
改めて本イベントの開催にあたり、ご協力いただいた登壇者の皆様、そして当日会場に足を運んでくださった皆様に、心より感謝申し上げます。多くの方々のご支援、そしてご来場いただいた皆様の存在があってこそ、今回のイベントを実現することができました。
リョーサンでは今後も、皆様に「面白い!」と思っていただけるような、価値あるオフラインイベントを企画・開催してまいります。今回ご参加いただいた方はもちろん、まだ参加されたことのない方にも楽しんでいただける内容を目指してまいりますので、次回はぜひ、お気軽にご参加ください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
(執筆者:中川 鈴菜)




