【初心者から玄人まで】ACDC電源設計のための処方箋
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- 更新日
- 2023.05.09
- 公開日
- 2023.05.09
アプリケーション仕様の多様化により、ACDC電源に求められるスペックも多様化しています。また、電源設計は非常に検討事項が多く、求められる技術力も高度です。電源設計で押さえておきたい市場要求など、まずは知っておきたい内容をまとめています。
1. まずはじめに
ACDC電源とは?
ACDC電源とは、AC(交流)電源からDC(直流)電源に変換するための装置のことを指します。AC電源は一般家庭やオフィスのコンセントから供給されており、電圧や周波数に対応したACDC変換器(例:パソコンのアダプタなど)を使用してDC電源に変換しています。ACDC電源は、多くの電子機器や産業分野で必要とされるため、広く使用されています。
2. ACDC電源設計で押さえておきたい市場要求
ACDC電源ユニットを設計する上で、以下の市場要求を押さえることもポイントになります。
高効率化
変換効率が高いほど消費電力が少なくなり、省エネルギー化に繋がります。近年では、80 PLUSや80 PLUS Titaniumなどの規格があり、高い効率を実現する設計が求められています。
高周波数化
電子機器に搭載する電源の小型化や応答性能を高めるために、スイッチング周波数(キャリア周波数)の高周波数化が進んでいます。スイッチング周波数を上げることで小さなインダクタンスやコンデンサを使用することできますが、安易な高周波数化の設計はスイッチング電源の効率低下やノイズ増加に繋がります。
低損失化
低炭素化社会を実現するためにも電源の低損失化は重要なキーワードです。スイッチング素子(SiC、GaN)の性能向上による効率改善が進んでいるほか、共振技術によるソフトスイッチングでのスイッチング損失とノイズを低減した「LLC共振コンバータ」や「フェーズシフト・フルブリッジコンバータ」などを用いる方法があります。
信頼性
電源の信頼性は火災などの重大事故とつながるリスクがあり注意が必要です。電気機器の火災件数は増加傾向となっています。
より省エネルギー、コンパクト、高性能な製品を実現するために電源ユニット開発も重要になってきます。製品仕様に合わせて電源ユニットの特徴を理解し、求められる安全規格なども加味した上で設計していくことが重要です。現時点では仕様を満たしていても、先々容量が不足してしまう。などの壁にぶつからない為にもACDC電源ユニットの設計に限らず、パワーエレクトロニクスに関する全般の知識を押さえておくことも大切となります。
3.パワーエレクトロニクス設計の課題
パワーエレクトロニクスは、エネルギー効率の向上や省エネルギー化、自動運転技術や再生可能エネルギーの分野で重要な役割を果たしており、昨今パワーエレクトロニクスに関連する設計者の需要は年々増加傾向にあります。その需要に反し、設計者には高い技術知識や経験が求められるため、設計者不足が問題視されています。設計者の育成や確保が大きな課題となっています。
電源設計者を助ける、「モデルベース開発とは?」
設計段階では実機はなく、試作機の製作はコストもかかり検証がなかなか進まないという問題があります。モデルベース開発では、実機同等の立ち振る舞いを行うシミュレーションモデルを作成し、シミュレーション上で成立性や機能を検証することで、効率的に開発を行うことができます。
4.開発手法の選択肢
ACDC電源開発において、自社の開発リソース課題に多くのお客様が悩んでいます。入出力仕様を満たすだけでなく、各国の安全基準を遵守し、認証を得るまでに多くの知見と工数が必要であることが要因です。自社開発における知見不足や工数課題を解決する手法はいくつかありますが、オーダーメイド開発の場合、開発リードタイムはどうしても長くなってしまったり、初期費用の面でデメリットとなる場合があります。一方、レディメイド開発(完成品を用た設計)は、仕様に沿ったカスタマイズ(最適化)ができないという点がマイナスに働くかもしれません。このようなお悩みを解決する「セミカスタム開発」という手法があります。
5. まとめ
ACDC電源設計は、昨今の5Gや産業機器のIoT化が進むにつれて開発手法のトレンドが変わってきています。実現したい機能の具現化や、設計の共通化を行う為には、あらゆる手法を使い分けられる知見やパートナー選定が重要となっていきます。最短で効率的に、電源設計を進めていきましょう。「まずはどの手法が最適か、一度相談してみたい」というお客様には、電源設計に関する無料相談をお受けしていますので、ぜひお問い合わせください。